ササニシキ

4K

娘に喰わせてもらってます。 朝比ゆの

「じゃあそろそろ脱いでくれる?」ニヤケ顔のオジサンがカメラを構えてスカートの中を凝視する。今すぐ逃げたい気持ちを抑えて私は下着に手をかけた――。暴力沙汰で会社をクビになった父が「良い仕事見つけた」と私の顔写真を使ってSNSで下着を売り始めたのは半年ほど前。【オシッコ漏らしちゃった】【エッチなお汁ついてます】そんなコメントを添えたパンツ写真を投稿すると、即座にDMが送られて次々に購入されていく。「世の中バカばっかだな」父は笑いながら新しい下着にスポイトの液体を沁み込ませ、その背中を見ながらホントだなと私も思った。勝手に写真を使われるのはイヤだったけど、稼げるウチは機嫌が良いし、殴られるよりはマシだった。でも仕事の雑さが原因で売り上げがドンドン落ちてくると、父は過激さが足りないと手渡し売りを勝手に決めた。「客の前で脱ぐだけだから」事もなげに言う父。断ればどうなるかわかっている。パンツ渡したらすぐ帰ろう、そう思い目を伏せて脱ぎ捨てた。「今日はね、パンツだけじゃなくて中身も欲しいってお願いしたんだ」下着の匂いを嗅いだオジサンが私の肩を抱いて笑う。話が違うと嫌がる私に「ヤルまで帰るな」と出て行く父。その冷たい背中を見ながら「私が一番バカだった」と震える腕に爪を食い込ませた。家族のためと弄ばれた哀れな少女の物語。
4K

娘に喰わせてもらってます。 永野鈴

「仲良くしようね」 私の肩を抱くオジサンの笑い声。部屋から出て行く母親の背中を見つめながら、私は泣きたい気持ちを必死に堪えて目を閉じた――。小さな頃から母の愛情はいつも兄に注がれていた。出来の良かった兄、悪かった私、褒められる兄、叱られる私、それが日常だった。父はそんな私を見かねて、よく散歩に連れ出してくれた。肩車して、お菓子を買ってくれた。優しくて大好きだった父。でも父は突然居なくなった。それ以来母は毎日のように父の悪口を私たちに聞かせ続けた。「最低な人だった」「居なくなって正解」「親子3人で頑張ろう」「私たちは幸せなんだ」と。そうでなければ許されないと、自分に、私たちに、呪いのように言い聞かせた。やがて生活が困窮してくると母は「家族のため」だと言って、私に身体を売ることを求めて来た。兄はどうするのだと聞くと、兄は良いのだと怒られた。イヤだった、辛かった。知らない大人に身体を舐めまわされて、これのどこが幸せなのだと、なぜ私だけと泣いた。でも弱かった私には、此処しか居場所ないのだと、これが自分の役割なのだと受け入れるしかなかった。「キミってさ、夢とかってないの?」 オジサンはそう言いながら私の体を撫でまわす。願うことすら許されないなら、夢なんて見たくない。家族の絆が無垢な心を追い詰めた。哀れな少女の物語。
4K

明日にはパパになるっていうのに、こんなことしていいんですか? 玉城夏帆

都内某所にある産婦人科病院に勤める玉城は、穏やかで明るい笑顔の美人看護師。妊婦に寄り添う細やかな気遣いが利用者から高く評価され、同僚からの厚い信頼を寄せられていた彼女だったが、玉城は誰にも言えない秘密を隠し持っていた。それは病院に訪れた夫たちを、身重の妻に隠れて誘惑するという悪癖…。「出産するまでエッチはダメ」と妻からセックスを拒否られて性欲とストレスが溜まりまくった男たちは、採精室で、病室で、まさに出産中の分娩室のそのすぐ傍で…産みの痛みと戦う妻を裏切り、玉城の誘惑にいとも簡単に堕ちていく。快楽に身を任せ間抜けヅラで果てていく男の顔を満足気に見つめながら玉城は優しく微笑む。「私、幸せそうなご夫婦を見ると、意地悪したくなるんです…」 性悪ナースに絡め取られたクズ夫たちの院内不貞4編を収録。
4K

娘に喰わせてもらってます。 美咲音

「嫌だったら金持って逃げれば良いんだよ。アイツらだって女買ってるんだ、泣き寝入りするしかないんだよ」なんてママは言うけれど、そうじゃない場合のことは教えてくれなかった。「いるんだよね、キミみたいに逃げ出す子。ちょっとお母さんに電話してもいい?」 オジサンの口調は穏やかだったけど、私の手首を掴んだ太い指がギリギリ食い込んで、その目は少しも笑っていなかった――。「アンタの新しいパパだよ」 ママから紹介された4番目のパパは浅黒い肌に鋭い目つきで「静かにしなさい、ママ寝てるんだから」とか言いながら私を●す男だった。それでもママにとっては大事な人で、「家族のためにウリして稼げ」と男が言ってきた時は、「良い考えだ」と一緒になって私を説得した。大好きなママは唯一の家族だったから、私は嫌なことも我慢した。助けになれると、褒めてもらえると思ってたから。ママも私のこと好きだって、そう信じてたから。「ケーサツとか勘弁して。アンタがドジったんだからアンタが責任とりなよ」 電話から聞こえてくるママの冷たい声と男の笑い声。私の足を舐め回すオジサンを見下ろしながら、強く唇を噛み締めた。汚れた大人たちに利用され、心と身体が蝕まれていく。哀れな少女の物語。
4K

娘に喰わせてもらってます。 天美めあ

「オッサンとちょっとエロいことするだけやん! なんで助けてくれへんの!」 泣きベソかきながら喚くママ。「最近できた友達と東京で店出すことにしてん」なんて胡散臭い話に乗っかって大阪から東京に引っ越したものの、その友達とやらとは音信不通。預けたお金もどこへやら。職も貯蓄も失って、途方にくれたママが思いついたのが私に頼ることだった。顔合わせで1万円、カラオケデートは2万円、手つなぎハグはプラス5千円。それ以上は要相談。私の見た目と若さに釣られたオッサンがスケベ顔で小遣いをくれる。確かに地元ではパパ活してたし、清純ぶるつもりも無いけれど、オッサンの相手はいい加減ダル過ぎて、こっちじゃマジメにやろうと思ってたし、そもそも親がいうセリフとは思えないんですけど? なんて拒否ったらこの始末。泣き散らかしてヒスるママに、ニヤけ面のキモオヤジ。地獄みたいなこの状況に泣きたいのはコッチなんだけど…。「メアちゃんありがとう! ママ頑張るからね!」 受け取ったお金を嬉しそうに仕舞い込んで部屋を出て行くママ。「言うこと聞いてあげるんだ? 良い子だね」 生臭い息に私が顔を背けると、オッサンは笑って肩を抱き寄せた。母とふたり、ずっとこれまで生きて来た。だからこれからも母を見捨てられない。大人たちに利用された哀れな少女のおはなし。
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娘に喰わせてもらってます。 桜すずか

都内でも指折りのお嬢様校への入学が決まった時、私より喜んだのは母だった。朝はまずお花の水やり。旧校舎への渡り廊下を抜け、礼拝堂でお祈り。金木犀の香りに包まれながら授業を受け、級友たちと夕方まで部活。男子禁制の学び舎で恋愛話に夢中になって、‘いつか私も恋とかしちゃうのかな’なんて夢見ながら帰宅する…。それが私の学校生活、私のすべてだった。壊れたのは2カ月ほどまえ。順調だった父の事業が大きな損失を抱えたのだ。すべてを立て直すには生活レベルの見直しが必要だったが、住んでる場所も、ハイブランドの衣服も、何一つ諦められない母がそれを許さなかった。ある日、会社の経営者だと名乗るオジサンを母に紹介された。「スズカの初めてをね、この人が高く買ってくれるって」 私はそのとき母になんて答えたのか覚えていない。覚えているのはたくさん泣いたことと、オジサンの歪んだ笑顔と、下半身の鈍い痛みだけ。それから母は父に内緒で色んな男の人を連れてきては、お金と引き換えに私を抱かせた。どれだけ私が嫌がっても、家族のためだ、私のためだと、怒鳴られた。今日もまた知らない場所に連れていかれる。私にできることはもう、早く時が過ぎ去るように目を閉じて祈ることだけだった――。虚栄心に囚われた母の呪縛から逃れられない…健気で哀れな少女のおはなし。